MOVとMP4の違いとは?コンテナとコーデックから解説
2026.09.30 更新 · 5分で読めます
MOVとMP4は映像を入れる「コンテナ」が違うだけで、中身のH.264やHEVCは同じ場合があります。再エンコードせずにMP4にできる場合と、再エンコードが必要な場合を説明します。
MP4変換をすぐに使うMOVとMP4は、どちらも映像と音声を入れる「コンテナ」(ファイル形式)です。画質や容量を決めるのは中に入っているコーデックで、H.264などのコーデックはMOVにもMP4にも入れられます。そのため、H.264の映像が入ったMOVは再エンコードせずに入れ物だけをMP4に変えられ(リマックス)、再エンコードが必要なのは相手が再生できないかもしれないコーデックが入っている場合だけです。
コンテナとコーデックは別のもの
MDNは、メディアコンテナを「音声や映像などの1つ以上のメディアストリームをメタデータと一緒にまとめ、あわせて保存・再生できるようにするファイル形式」と説明しています。一方、コーデックはそのストリームを圧縮・展開する方式です。
| 区分 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| コンテナ | 映像・音声とメタデータを1つのファイルにまとめる | MOV、MP4、WebM、MKV |
| 映像コーデック | 映像を圧縮する方式。画質と容量を左右する | H.264(AVC)、HEVC(H.265)、VP9 |
| 音声コーデック | 音声を圧縮する方式 | AAC、MP3、Opus |
コンテナを箱にたとえると、コーデックは中身の詰め方です。.movや.mp4は箱の名前なので、拡張子を見ただけでは中にどのコーデックが入っているかはわかりません。
MOVとMP4の共通点と違い
MOVは、Appleが開発したQuickTimeのファイル形式です。MDNによると、MP4のファイル形式はISOベースメディアファイルフォーマット(ISO base media file format)から派生しており、そのフォーマットはQuickTimeのファイル形式から直接派生したものです。つまり、2つは同じ系統の形式です。
| 項目 | MOV(QuickTime) | MP4(MPEG-4) |
|---|---|---|
| 拡張子 | .mov | .mp4 |
| H.264の映像 | 入れられる | 入れられる |
| HEVC(H.265)の映像 | 入れられる | 入れられる |
| AACの音声 | 入れられる | 入れられる |
| 主に使われる場所 | 主にApple製のデバイス | Webや多くの端末で幅広く対応 |
違いは対応の広さです。MDNはMP4を「よく使われるコーデックの多くに対応し、幅広くサポートされている人気のコンテナ」と紹介しています。一方でQuickTimeは、実質的に主にApple製のデバイスで使われるため、インターネットではあまり使われていないと説明しています。送る相手の端末やアプリがわからないときに、MP4で送るのが無難なのはこのためです。
iPhoneの動画とHEVC
Appleのサポート記事によると、iPhone 7以降の機種はiOS 11以降でHEVC(H.265)の動画を撮影でき、HEVCはH.264より圧縮効率が高いため、ストレージの使用量が少なくて済みます。撮影時の形式は「設定」→「カメラ」→「フォーマット」で選べます。「互換性優先」を選ぶと、新しく撮影する写真やビデオはJPEGまたはH.264になり、「高効率」を選ぶとHEIF/HEVCを使います。
MDNによると、ブラウザがHEVCに対応しているかどうかはOSやハードウェアによって異なります。そのため、.movのファイルがある端末で開けないとき、原因は拡張子ではなく中身のHEVCかもしれません。Appleは、AirDrop・メッセージ・メールで共有する際、受信側がその形式に対応していなければH.264などの互換性の高い形式で自動的に共有される可能性があると案内しています。相手の環境がわからない場合は、自分でH.264のMP4にしてから送るほうが確実です。
リマックスと再エンコードの違い
MOVをMP4にする方法は2つあります。
- リマックス(remux):コーデックのデータはそのままで、入れ物だけを変えます。映像を圧縮し直さないため画質は変わらず、容量もほぼ同じです。
- 再エンコード:映像を一度展開し、別のコーデック(H.264など)で圧縮し直します。相手が再生できないコーデックを変えられますが、非可逆圧縮をもう一度通るため、画質が元の動画とわずかに異なることがあります。
MP4変換は、ファイルごとに必要な部分だけを再エンコードします。
| 元の動画 | 処理 | 結果に表示される案内 |
|---|---|---|
| 映像H.264+音声AAC・MP3 | リマックス | 「再エンコードせずに形式だけを変えました」 |
| 映像H.264+それ以外の音声 | 映像はそのままで、音声だけをAACに | 「映像はそのままで、音声だけをAACに変換しました」 |
| それ以外の映像(HEVC・VP9など) | 解像度とフレームレートを保ったままH.264に | 「H.264で再エンコードしました」 |
「互換性を優先(H.264に変換)」をオフにすると、HEVCの映像も再エンコードせずにMP4へ移します。相手がHEVCを再生できるとわかっているときだけオフにしてください。
テスト用のファイルで変換した結果は次のとおりです(Chrome(デスクトップ)で計測。端末やブラウザによって異なります)。
| 元の動画 | 結果 |
|---|---|
| MOV(H.264+AAC、720p、10秒)1.1 MB | リマックス、MP4 1.1 MB |
| WebM(VP9+Opus、640×360、10秒)829 KB | H.264+AACで再エンコード、MP4 742 KB |
| AVI(MJPEG+PCM、640×360、5秒)2.2 MB | H.264+AACのMP4 527 KB |
ZEKILO Studioでの手順
MP4変換はこのブラウザ内で処理し、ファイルは端末の外に送信されません。
- 動画を1つドロップするか[ファイルを選択]で選びます。長さ・解像度・コーデックが表示されるので、中身のコーデックを確かめられます。
- 「互換性を優先(H.264に変換)」がオンになっている(初期値)ことを確かめて、[開始]を押します。
- 結果を再生して確かめ、[ダウンロード]でMP4を保存します。ファイル名は clip.mov → clip.mp4 のように拡張子だけが変わります。
一度に追加できる動画は1つで、パソコンでは1 GB、スマートフォンでは100 MB以下をおすすめします。AVI・WMV・FLVは代替エンジンで処理するため、パソコンでは300 MB、スマートフォンでは100 MB以下をおすすめし、700 MBを超えるファイルは処理しません。リマックスでは容量がほとんど変わらないため、容量も小さくしたい場合は動画圧縮を使ってください。結果は常にH.264+AACのMP4です。詳しい手順はLINE・メールで送る動画の容量を小さくする方法にまとめています。
まとめ
- MOVとMP4はコンテナ(入れ物)で、画質と容量は中身のコーデック(H.264・HEVCなど)が決めます。
- どちらの形式にもH.264とHEVCを入れられますが、幅広く対応しているのはMP4です。
- H.264+AACのMOVは、リマックスで画質を変えずにMP4にできます。HEVCやVP9などはH.264で再エンコードすると、より多くの端末で開けるようになります。
- ファイルが開けないときは、拡張子より先に中身のコーデックを確かめましょう。